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No.146 Winter.2026

信じる心がある限り
人は何度でも立ち上がれる

サッカー指導者/コメンテーター

ラモス瑠偉さん

日本サッカー界のレジェンド、ラモス瑠偉さん。勝利に執着し、何度も逆境を乗り越えてきた「戦う男」は、引退後、人生を揺るがす経験を重ねてきました。現役時代から今日まで、大きく変化したという体との向き合い方についてお話をうかがいました。

撮影/五十嵐真 取材・文/吉國るみ


信じる心がある限り
人は何度でも立ち上がれる

33年の時を経て 目標は「出場」から「優勝」へ

「ドーハは悲劇じゃなかった」 1993年、FIFAワールドカップ・アメリカ大会のアジア最終予選を振り返った自身の著書で、ラモス瑠偉さんはそう綴っています。試合終了間際のロスタイムで同点ゴールを許し予選敗退が決まった、カタール・ドーハでのあの瞬間。
「もちろん、試合直後は頭の中が真っ白で、その場にへたり込みました。でも、悲劇なんかじゃない。今振り返ると、神様からの試練だったと思うんです。〝お前たちの役割は、ワールドカップに出場することじゃない。まだ早い。やるべきことはまだある〟って」
所属クラブの後押しもあり1989年、32歳で日本国籍を取得、日本代表として世界に挑んだラモスさん。その原動力は何だったのでしょうか。
「第一は家族。次に仲間や応援してくれるすべての人。そして、日の丸を背負う誇り。それらに支えられて、20年以上もピッチに立ち続けられました。自分のためだけならとっくにサッカーは辞めていたと思います」
それぞれに時代ごとの役割を担い、実績を重ねてきたサッカー日本代表。FIFAワールドカップ2026年大会の開幕を控えた今、日本が目指すのは「出場」から「優勝」へと確実に進化しています。
「日本は本当に強くなっていますし優勝も夢じゃない。でも簡単に優勝できるチームなんて世界のどこにもありません。結果は誰にもわからない。だからこそ、自分たちの力を信じるしかないんです」

アンバランスな選択もすべては結果を出すため

勝利にこだわり、決して諦めなかった現役時代。食事や日常生活もストイックに追い込んでいたのでしょうか。
「誰よりも練習していた自負はあります。でも、生活管理は誇れるものではありませんでした。朝食代わりに缶コーヒーを2本。規則正しさや栄養バランスよりも、とにかく朝は眠る時間が欲しかった」
当時は、トップアスリートでも多くが各自の裁量に委ねられていた時代でした。
「今では考えられませんよね。でもあの頃はそれで調子が良かった。練習メニューも自分に必要がないと判断したら絶対にやらなかった。だから、腕立て伏せはいまだに苦手です(笑)。すべては、ピッチで結果を出すための選択でした」
ブラジル料理やスイーツも大好物。外食は焼き肉などの肉料理が中心で、ビールは一晩で20杯以上飲むことも。
「そんな食生活は引退後もしばらく続きました。〝そのうち病気になる〟と、妻は心配してくれていたのですが……」
ラモスさんの体調に最初の大きな変化が訪れたのは59歳の頃。脳梗塞で生命の危機に陥るも、妻・俊子さんの支えと懸命なリハビリによって、奇跡的に回復を遂げました。

偶然見つかった病
身をもって感じたのは
定期検診の大切さでした

二度目の宣告と「勝つための治療」

脳梗塞克服から9年、『ラモス瑠偉ステージ3の直腸がんを告白』とのニュースが報じられたのは2025年末のこと。
「毎年欠かさなかった人間ドックも、コロナ禍で数年空いてしまって。同世代の仲間内で前立腺の話題が出て、念の為に検査を受けてみたら、前立腺ではなく直腸にがんが見つかったんです。まさか自分が、とショックでしたね。定期検診の大切さを痛感しました」
当初、病気のことを知っていたのはごく限られた人のみ。
「家族のためなら命も差し出す覚悟で生きてきましたが、自分自身のために病気と向き合えるのかと悩みました。でも夫婦で話し合い、勝つために戦うと決めたんです」
25回の放射線治療を経て、7時間30分の大手術に成功。現在は徐々に仕事へ復帰しながら、寛解に向けた療養を続けています。
「妻が栄養管理までしてくれ、食生活も一変しました。朝は白飯と焼き鮭、甘いものは控えて昼と晩も魚や鶏肉が中心です」
医師の指導よりさらに厳しく制限されているそう。
「体調を考えると、今の食事が自分に合っているとわかります。生活リズムも整い、毎日しっかり散歩もしている。この習慣は続けていきたいですね。妻や家族には心から感謝しているし、もう昔の生活に戻ることはありません」

心と体に私のポジティブルーティン

神様が与える試練は乗り越えられる人だけに

何度も立ち上がり、何度も窮地を乗り越えてきた。ラモスさんほど「復活」の言葉を繰り返し印象付けたアスリートはそう多くないでしょう。
「復活は何度でもできる。信じる心があれば、どんなことでも乗り越えられると思います」
これもドーハの時と同様に、神様からのメッセージなのかもしれませんね。
「神様は、乗り越えられない人には試練を与えないと信じています。だからこそ、やれる努力はすべてやる。食事や生活習慣の改善、定期的な検診、周囲への感謝も忘れてはいけません」
その言葉は、病気と向き合う人だけでなく、これからの自分の体を考える私たち一人ひとりに、力強く語りかけているようでした。

親子で設立「CARIOCA FC」始動!

ラモス瑠偉さんをエグゼクティブディレクターに迎え、長男のファビアノ氏が代表兼監督を務める社会人サッカーチーム「CARIOCA FC(カリオカ エフシー)」が活動スタート。ラモス親子による新たな挑戦にご注目ください!

From Ruy Ramos

ラモスさんがサインに必ず書くという「Do Amigo」は、ポルトガル語で「友より」という意味。右下には、現役時代に長年背負ってきた背番号「10」の数字が。

Profile

ラモス瑠偉
1957年ブラジル生まれ。20歳で来日後、32歳で日本国籍を取得。長きにわたり読売サッカークラブ(現・東京ヴェルディ)に所属し、Jリーグ創成期から日本サッカー界の発展を第一線で支えてきた。引退後は監督・指導者としての活動に加え、幅広い分野で活躍を続けている。2000年リオ・ブランコ勲章(ブラジル政府による最高勲章のひとつ)受勲、2018年には日本サッカー殿堂掲額者に。

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